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4月5日。
私の兄から本が一冊送られて来た。 その小包には、シルビィア・アーサーの「ビーュティフル・マインド」一冊と手紙が同封。 本は、アインシュタイン、フォン・ノイマン、ノーバート・ウィーナーら煌くばかりの才能が集うプリンストン大学で頭角を現し、だがその後30年以上も精神の病に苦しめられて、もはや「幽霊」としかよばれない男がいた。 天才数学者ジョン・フォーブス・ナッシュの物語。 奇跡的な回復を遂げてノーベル賞に輝いた、実在の人物の運命をたどる感動のノンフィクション! 手紙は、挨拶の言葉は無く、母との生活の近況は綴られず、世界の騒乱と天才達の生き様のみが、便箋10枚に渉り書かれていた。 さすがのヨメも手紙を読み「わからん!」と一言のみ・・・ 確かに難解極まる内容が続いている。 手紙を送りたかったのか、本を送りたかったのか・・・・? 兄自身が子供の頃から秀才と言われ続けてきた。 小学生の頃は、卒業まで常にオール5。 中学でもトップ。 県下随一の高校も、他者を寄せ付けないトップを通をした。 すでに小学生の頃には親に説教し、中学生の頃には先生にも説教し、高校の頃には朝5時には学校にいたという伝説の人間である。 睡眠は一日、2~3時間程度。 目をつぶっても東大は間違いないと言われ、わたしに「九州大学程度に行ったら許さんゾ!」と言った人間である。 しかしそういう人間のせいか狂気と平常が同居し、精神を少しづつ病んでいった。 常に精神安定剤を飲み、眠り薬を服用した。 そして倒れた。 高3の初めであった。 医師の「精神が壊れる可能性がある」との診断で学問を捨てた。 しかし、兄には絵画の才能もあった。 美術の先生が東京芸術大学を目指せと言うくらい。 しかし芸大の油絵科は、年間14人しか合格しない難関中の難関である。10浪、15浪がごろごろいる世界である。 兄は、2年目に挫折した。 3年目に皆が知らぬ間に、早稲田の仏文に通っていた。 途中、フランスのソルボンヌ大学に留学していた。 帰国後、東京で映画の助監督をやり、油絵の個展をしていた。 なぜか40歳位の頃全てを捨て、福岡に戻ってきた。 すでに父は、すい臓ガンでこの世を去っていた。 食べていく為に板前の道を選んだ。 なぜ突然板前なのかは、判らない。 結婚をする機会にもめぐまれず、今は介護が必要な母と二人暮らし。 職をやめ、母の三度の食事の世話。 年金までにはまだ時間があるため、母の年金と父の軍人恩給で生活。 毎日、近くの大学の図書館通い。 今もって学ぶことを捨ない人間である。 この男の人生は何であったのだろうか? 心から幸せな時はあったのだろうか? 何を求めて来たのであろうか? 兄さん、あなたの手紙の一節に「人生は50年位が丁度いい。50年間、精神病院に入ってた人間もいるし、・・・・」と書いてる所が有りましたね、なぜか胸がキュンとなりまりました。 何が言いたかったのですか? 母の面倒を看てもらい、ありがとう。 ゴメンナサイ、兄さん。 生きることが、苦しくはないですか? 心が、苦しくないですか? いつの日か、もしあなたが一人なって寂しくなったり、生きることが嫌になったら、その時はペナンに来てください。 一緒に暮らせばいいのですから・・・ 本、ありがとうございました・・・ (花シリーズ) なんの花? なんの花?
by hiriver
| 2008-04-04 23:42
| ペナン:日常ものおもい
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