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イタリアは語るべき対象が多過ぎた。 遺跡、建築物、教会、絵画、彫刻、食、ブランド品、女性、などなどキリがない。 (お洒落) 街のカフェ・テリアでカプチーノを飲みながら、街行く女性を眺めていた。 スリムな女性、太った女性、若い女性、熟年の女性、老女。 さすがにファッションをリードする国だ、皆、お洒落で美しい。 顔を言っているのではなく、センスのことであり、雰囲気である。 さりげなく着飾った感じが、実によかった。 このセンスの良さは、文化や芸術を守り続けた長い歴史の中で培った、イタリア民族の遺伝子の中にあるのであろう。 もちろん男性も、お洒落である。 それも、極めて格好良く、センス良く決まっているのである。 決して派手にしているのではなく、地味にしている普段着が、見事に決まっているのである。 背の高さか?足の長さか? でも、そういう問題だけではないと思う。 男性は老いも若きも、女性を見ると〝褒め殺し〟をする。 民族としての男の習性が、女性に対して常に違和感がないような、服装をさせているのであろう。 (ワイン) イタリアは、ワインの世界三大生産国の一つである。 これで私は、フランスとドイツを含めた三大生産国を廻り、何本もボトルで現地のワインを飲んだことになる。 そして感じたことは、ワインの生産が無いに等しい、イギリス人や日本人の食通きどりのバカどもが、机上の知識をひけらかしているということだ。 ワインの能書きをたれる日本人が多いが、酒の味の能書きは、顔や声が酒焼けし、手が震えるくらい飲んだ人間が、はじめてポロリと言えるのだ。 日本人のように、ワインのテースティングをやるような道化師のマヌケは海外にはいないし、またやってもわれわれに解るハズもない。 それについては、私が敬愛するフランス仕込みの文人で、実際にワイン作りもしている〝玉村豊男〟氏もハッキリと言っている。 テイスティングする時は、時間の無駄だから係にまかせなさいと。 (エスプレッソ) エスプレッソを注文すると、ちいさなドゥミ・カップの底に1cmほど入った、青汁顔負けの苦がく真っ黒い液体が出てくる。 罰ゲームを、お金を払ってしているようなものである。 ある時、カフェで隣に座っている年配のイタリアの男性が、私の顔を見ながら当然のように、運ばれてきたエスプレッソを、口にポ~ンと放り込み一気飲みをしたのだ。 生まれながらの負けず嫌いな私は、それを見た瞬間なぜか挑まれたと思い、頭の中でカチリとスイッチが入ったのである。 そのとたん、頭の中で日の丸が揚がりだし、軍艦マーチが鳴り、日本国を背負ってしまったのである。 そしてその時タイミングよく、注文していたケーキとエスプレッソが、私のテーブルへ運ばれてきたのだ。 私も当然負けじと、ポ~ンとエスプレッソを口に放り込んだ。 ヒィ~~!苦さのあまり、走り出しそうだ。 表情は何ともないように装っているが、テーブルの端を強くつかみ、顔は引きつっている。 もしこの時手を放していたら、たぶん100mを9秒5くらいで走り、世界新記録を出していたと思う。 だいたい私が普段飲むコーヒーは、超・超・アメリカンで、大袈裟に言えばかろうじて色が付いているだけである。 もともとアメリカンなんて根性無しが飲むコーヒーは、日本にしか存在しないのだろう。 たとえ海外でアメリカンやアメリカーノというコーヒーがあっても、日本で飲むエスプレッソくらい苦い代物が出てきてビックリする時がある。 だから間違ってもイタリアで、アメリカンなどという、バカな注文をしてはいけない。 「自分のションベンでも入れて薄めろ!」という顔をされることは請け合いである。 まだまだ書きたいことはたくさんあるのだが、どんどん下品になっていくので、イタリアの旅の話はこのへんで終わりたい。 それにしても、ヨーロッパはどこも素晴らしい。 文化も芸術もそうなのだが、それぞれの国の風土に生きている人間が美しい。 常に近隣諸国と戦って国を守ってきたきた歴史が、人々にこれほど〝人間としてのプライド〟を持たせたのかと思う。 自分の意見を持った人間が多く、薄っぺらな人間が少ないと感じるのだ。 顔付がいいし、立ち姿が美しい。 それはただ、私の中の劣等感から来る思いなのか。
by hiriver
| 2010-04-14 08:52
| 旅行:イタリア
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